博多の「アイアンマン」が世界選手権へ-ふくや所属のトライアスリート

ふくやに勤務する傍ら、アイアンマンで世界に挑む佐藤忠相さん。

ふくやに勤務する傍ら、アイアンマンで世界に挑む佐藤忠相さん。

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 ふくや(福岡市博多区中洲2)で主に広報業務を行う網の目コミュニケーション室の社員、佐藤忠相(ただすけ)さん(27)が、10月11日にハワイで行われるトライアスロンの世界選手権「アイアンマンワールドチャンピオンシップ」に参加する。

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 「アイアンマン」はトライアスロンの種目で、日本をはじめ、世界中で予選が開催され、完走時間順で総合・年代別で上位の選手が世界選手権であるアイアンマン・ハワイへ参加することができる。スイム3.8キロメートル、バイク180キロメートル、ラン42.195キロメートルを連続して行い、最も過酷な競技とされる。

 佐藤さんは1981年に福岡県北九州市に生まれ、5歳のころから中学まで地元の名門ラグビークラブに所属。中学では九州選抜のキャプテンを務めながら、学校では陸上部にも所属、高校でもキャプテンを務めた。大学入学時にアメフトに転向するも、競技性の違いから、秋にはトライアスロンに挑戦することを決意したという。

 最初の半年は独学でトレーニングしたものの徐々に知り合いも増え、練習を一緒にしたり、近くのサークルと練習や合宿を行ったという。2年生の4月に大阪でショートの大会に初出場すると、5月には早速「アイアンマンジャパン」に参戦。在学中には家庭教師のアルバイトをしながら大小合わせて約50の大会に参加してきた。

 卒業後、地元福岡に戻り、テレビ局に入社。練習は続けていたが、2年目に東京支社へ異動で「仕事で満足に練習できなかったし、やはり福岡で練習したかった」(佐藤さん)と昨年3月に退社した。同6月には世界大会の出場枠を争う「アイアンマンジャパン」に出場し、同10月の世界大会に出場したが、結果は振るわなかったという。

 海外での大会は1回につき20~30万円の遠征費がかかるため、ベロタクシーのアルバイトやパーソナルトレーナーを務める一方、ボランティアなどを行い人脈を広げながら、企業のトップやOBに手紙を書いて支援を要請してきた。

 今年2月、ふくやのグループ企業である福岡サンパレスホテル&ホール(築港本町)の川原社長の目にとまり、6月の「アイアンマンチャイナ」ではふくやから支援を受けた。それに応えるかのように25~29歳の部で1位を飾り、世界大会の出場権を獲得。8月に正式にふくやに入社した。現在は週3日勤務する傍ら、目前に迫った世界大会に向けて最後の調整を行っている。

 上司である宗寿彦室長も「入社後、日はまだ浅いがとても真面目でコツコツやっているし、決められた時間については仕事もきちんとこなしている。(スポーツも仕事も)最近はこれだけ積極的な人は少ないし、。(仕事も競技も)ぜひ応援したい」と話す。佐藤さんは「会社の皆さんはとても家族的で、会社に理解してもらうことに感謝している」と仕事にも意欲を持って取り組んでいる。同社からは、遠征費の支援と週3日の勤務体系以外は、ほかの社員と同じように仕事をこなしている。

 アイアンマンという競技について、佐藤さんは「その人の人生が滲み出てくる、ごまかしのきかないスポーツ」と話し、「競技の前には、時に(競技の厳しさを想像して)嫌になることもあるが、やってみなければわからない、終わってからの達成感と、解放された雰囲気が最高」とも。また「高い目標を目指して、乗り越えることで自分を成長させたい」とも話し、「地元福岡で働いている、こんな若者がいるので、アイアンマンという競技を知ってもらって、ぜひ応援していただけたら」と世界選手権に向けて意気込みを語る。

 10月5日には海の中道で行われるトライアスロンフェスタのボランティアをした後、7日に福岡を発つ。大会は同11日、ハワイで7時(日本時間2時)からスタート。ネット中継される予定。

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