備前焼の陶芸作家が夫婦で「里帰り展」-古代中国の造形テーマに

小川さん夫妻は「釉薬を使わない陶器はそれ自体が呼吸していて、器を満たした水をも生かす」と興味深い話も。

小川さん夫妻は「釉薬を使わない陶器はそれ自体が呼吸していて、器を満たした水をも生かす」と興味深い話も。

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 サロン・ド・井筒屋U(福岡市博多区下川端町、博多リバレイン イニミニマニモ地下2階)のギャラリー&イベントスペースで1月2日から、「備前 -倭のくにの陶-」と題し、夫婦の「里帰り」作陶展が開かれている。

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 作陶展を開いているのは、小川一郎真(いちろしん)さんとおがわ檀(まゆみ)さん夫妻。共に陶芸を勉強していた大分県で知り合い、現在は岡山県で創作活動を行っている。檀さんの故郷である福岡では10回近く個展を開いているが、川端商店街の老舗、門田提灯店の長女である檀さんの故郷「博多」での作陶展は初めて。

 備前焼のルーツを探求してきたという一郎真さんは「大陸からの渡来がなければ生まれなかった」とのことから、古代中国の造形の雰囲気を盛り込んだ作品を中心に、つぼや香炉、花器、酒器など約80点を展示。備前焼の良質な粘土で、釉薬(ゆうやく)を使わずに30日間炊き込むという独特の方法で作った、紫色や朱色などの独特の色の陶器が並ぶ。

 夫婦での創作活動について一郎真さんは「共通する部分もあるが、それぞれの持ち味や個性をお互いが客観的に示し合えることで、良い方向に高め合うことができている」とし、「一般的な固定概念の備前焼とは違う、江戸時代以前の豊かで繊細な表現を現代の私たちの造形で現した部分を感じてもらえれば」と話す。

 里帰り展は今後も継続していく予定で、檀さんは「故郷を離れて20年、ずっと(故郷を)忘れたことはなかった。博多でも、博多の街を出ても活躍している人でも、1点1点持ち寄って博多の街を世界に向けていけるような、里帰り展になっていければ」と抱負を明かす。

 小皿(3,675円~)、長皿(8,400円~)、湯のみ(7,300円~)、一輪差し(10,500円~)なども販売。開催時間は10時~20時(最終日は18時まで)。入場無料。今月12日まで。

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