特集

「アートな視点」で博多を支える
MO・Architect設計事務所ディレクター 尾方孝弘さん

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■アートで博多を彩る

博多の街全体が灯明でライトアップされるイベント「博多灯明ウォッチング」。毎年10月に行われ、昨年15回目を迎えた。アーティストが提案した灯明のデザインやアイデアを元に、地域の住民と一体となって準備を進めていく。


建築デザインを手がけるMO・Architect設計事務所(福岡市城南区)のディレクター・尾方孝弘さんは同イベントに1996年より参加。99年にはアーティストとして冷泉地区のデザインなども手がけたほか、市民とのワークショップなども実施。また、数年前からは全体をまとめるプロデュース業も行っている。


「地域の子どもたちや年配の方との物作りが楽しいのはもちろんだが、何よりも素晴しいのは年に1回のイベントを通して出会った人との縁がその後もずっと続くこと」と尾方さん。「1度関わればみんな仲間。たとえ担当が変わっても手伝いを頼まれれば断られない人ばかり。博多の人柄が出ているイベント」という。「山笠の盛り上がり方とは違うが、誰でも参加できる祭りとして定着している」。


■博多は「田舎みたい」 

灯明のほか、冷泉公園や博多リバレインを舞台に展開しているユニークな取り組みも。子どもの頃、一度は誰もが「らしいもの」を作ったであろう「秘密基地」。1999年に建築家仲間と「『キチ』を通して、世の中が少しだけ楽しくなれば」と秘密基地を研究する「日本キチ学会」という組織を設立する。


3歳~74歳まで学会員は約120人。子どもたちと「遊び」や「空間」をテーマにしたワークショップを冷泉公園で開催したほか、博多リバレインで行われたアートイベントと連携し、「秘密基地」についてのアンケート調査なども実施している。同学会は現在、多忙を理由に「ゆる~く活動中(笑)」とか。


「博多は実家がある田舎のような存在」と尾方さん。「博多は100メートル歩くのに頭を5回下げないといけない。商売して20年、30年の老舗も多く、人のつながりが深い。歩いている人を見ても、どこの誰かがすぐ分かる、顔が見える街。博多のような街が増えれば、世の中良くなるのでは」。


2011年春、九州新幹線全線開通、新博多駅ビルの完成に向け、慌ただしくなってきた博多の街。尾方さんは「博多らしく、博多時間でゆっくり進んでいってほしい」と笑う。




取材・文/編集部 秋吉真由美

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