特集

博多の洋菓子店「チョコレートショップ」
パリ出店へ 3代目佐野恵美子さんが挑戦

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100年続く店に

1942年、一粒のチョコレートに魅せられた佐野源作さんが創業。2代目の現オーナーシェフ・隆さんが博多の老舗洋菓子店として根強い人気を誇る店に押し上げ、今年創業75年を迎えた。

「店を継ぐなんて考えたこともなかった」という3代目・恵美子さんは大学卒業後、福岡の百貨店で営業職に就く。在職中、顧客と接する際に「実家がチョコレートショップであると話すと皆さんが知ってくれていて…」と知名度の高さに驚いたという。その反応から「100年続く店にするには私が継がないと」と意思を固め、店を継ぎたいと隆さんに明かした。「でも(父は)断固反対で」。

恵美子さんの言葉に笑いながら「甘いもんじゃない。じゃあフランス行ってこいと。あきらめるでしょ(笑)」と隆さん。そう話す目には娘を心配する父の顔も垣間見える。だが、父の期待に反して(?)、フランスで8年間の修業を積んだ恵美子さん。パリ出店の切符まで手にした。

パリ出店へ大きな転機となったのは、砂糖不使用のチョコレート「ZEROチョコレート」の成功だ。2014年に開かれたパリのオートクチュールデザイナー、ジェレミー・ブエノの秋冬パリ・オートクチュールコレクションで同商品がモデルや招待客に提供される公式ケータリングフードに採用された。「スタイル重視のモデルさんなので一口も食べてもらえないかと思っていた」という恵美子さん。だが「きれい!」「どこで売ってるの?」「お土産にしたいけどもうない?」と予想に反して大好評。「もしかしてイケるかも」と手応えを感じたという。

同年に開かれた世界最大のチョコレートの祭典「サロン・デュ・ショコラ」には3年連続で出店。2015年には恵美子さんが手掛けたチョコレートが金賞を受賞する快挙を果たす。

■親子3代の思いを込めて

2015年、約3年かけて探した新天地の場所は、パリ市マレ地区。日曜には営業しない店も多いが、同地区は日曜もにぎわいを見せる人気観光地だ。築400年の建物の1階に店を構える。約9坪のこじんまりとしたショップの名前は「3つのチョコレート」を意味する「Les trios chocolats(レ・トロワ・ショコラ)」。「創業者である祖父、父、私の3つが重なって出来上がったチョコレート」との思いを込めた。

店頭には、恵美子さんの個性を生かしたボンボンショコラやケーキ、焼き菓子などが並ぶ予定だ。「世界一の観光大国に出店することで、博多の味を世界中の人へ味わってもらいたい」と恵美子さん。「祖父が見つけたチョコレートという原石。父が磨いてさらに私が彩りを加える。チョコレートショップが100年続く店になるよう、今は本場で頑張りたい」と目を輝かせる。

と締めたいところだが、―――「全く期待してません(笑)」と隆さん。「ま~だ認めてくれないの?」と恵美子さん。「もー!!頑固すぎる」。ガラスケースにキラキラ光るチョコレートが並ぶ店内に大きな笑い声が響いた。

取材・文/編集部 秋吉真由美

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