老舗菓子店「石村萬盛堂」の本店(福岡市博多区須崎町2)が7月30日、リニューアルオープンした。
1905(明治38)年に創業し、昨年115周年を迎えた石村萬盛堂。土地の有効活用や建物の老朽化のための建て替えに伴い、2019(平成31)年1月14日をもって本店の営業を休止し、仮店舗での営業を続けてきた。建て替え工事を終え、約2年半ぶりにリニューアルオープンした本店は「博多の風景が戻ってきたね」と言われるような店づくりを目指し、これからの博多の新しいにぎわいをつくる手伝いができる店でありたいという思いを表現したという。旧本店で使っていた扉や看板などを一部再利用するほか、店舗の外観には旧本店と同じ位置に「鶴乃子」「萬盛堂」の看板を設置した。
新本店は、菓子「鶴乃子」や「塩豆大福」などをはじめ、博多の風習「博多手一本」から誕生した新商品の菓子「祝うて(いおうて)サンド」などを販売する。旧本店と同様に博多祇園山笠(やまかさ)「追い山」のゴール地点となる「廻(まわ)り止め」を備える。1年間を通して、追い山のある7月15日だけ建物からせり出す仕掛けとなっている。店内には「無邪気なこころ」をテーマにしたガラス張りの塔「無邪気な間」を設け、同社の菓子と一緒に菓子の解説パネルを設置するほか、山笠に関する写真や道具、同社の昔のポスターなどの思い出の品など、博多にまつわる品々を展示する。
店内には工房を設け、本店だけで食べることができる菓子「つるのこのこ」(750円)を実演販売する。そのほか、博多の老舗茶店「光安青霞園茶舗」(中呉服町8)のお茶を使った冷たい緑茶(380円、「つるのこのこ」とセット=980円)も販売する。「つるのこのこ」と緑茶は店舗内に設置した縁台「ばんこ」やベンチで食べることもできる。
石村善之亮社長は「実演販売や、販売している商品を見て思わず笑みがこぼれるような、来てくれた人が笑顔になってもらえるような店にしたい。若い方にも来てもらえたら」と思いを語る。
営業時間は9時~18時。