福岡アジア美術館(福岡市博多区下川端町)7階企画ギャラリーで12月6日から、「アジアとヨーロッパの肖像」と題した人物表現を題材にした展覧会が開催されている。
国際共同巡回展として、アジア・ヨーロッパの民俗博物館・歴史資料館・近代美術館など18カ国の博物館と美術館の垣根を超えたプロジェクトの一環。2年以上前から、日本やアジア、ノルウェーやロンドンなどのヨーロッパの美術館などでネットワークをつくり、展示品を相互で協力、巡回展としてさまざまな都市を回る。今作品展は9月~11月は大阪、福岡の後は神奈川での展示も予定されている。
それぞれの文化でそれぞれの肖像を描いた第1章、想像で他国の肖像を描く第2章、接触後に描く第3章、近代に入り他国の手法を取り入れた作品を展示する第4章、そして現代における自己と他者を描く第5章の5つの章で構成されている。
作品にはアジアから見たアジア像、アジアから見たヨーロッパ像、ヨーロッパから見たヨーロッパ像、ヨーロッパから見たアジア像を示す4つに分類され、分かりやすいようにマークと色で分類。
ペリー来日時に日本人が鬼のように描いた絵、オランダの男爵の美しい肖像画とそれをかたどった影絵の人形など、それぞれの立場からの他者の見え方の違いが、時代を追うごとに変化していく様子が展示されている。そのほか、岸田劉生の麗子立像をはじめ、ロートレックのレイ・ミルトン、ジョフラン夫人の肖像画、現代ではジュリアン・オピー、舟越桂、森村泰昌らの作品や版画集「マリリン」などの有名な作品も展示。
同館学芸員の五十嵐理奈さんは「有名な作品も多いので、それを見るだけでもいいし、アジアとヨーロッパがどのように互いを理解してきたかをじっくりかけて見ていただければうれしい」と話す。
開館時間は10時~20時(入場は19時30分まで)。水曜休館。今月は26日までで、来月は2日から。作品は年末年始で30点ほど入れ替えを行う予定。