養鶏の生産・加工・販売や飲食事業などを行う「トリゼンホールディングス」(福岡市博多区千代1)と、食品卸や総合流通業を行う「ヤマエグループホールディングス」(博多駅東2)が共同出資し、4月1日に新会社「トリゼンクオリティオーシャンズ」を発足した。
トリゼンクオリティオーシャンズは、グループ会社の「トリゼンオーシャンズ」が製造する、鶏ふんを用いた環境改善肥料の販売を全国に拡大する。そのほか、生産者が同肥料を利用して育てた国内の水産物をブランド化し、付加価値を高めて商品流通まで目指す新事業を展開する。販売拡大と市場流通には、「ヤマエ久野」の販売流通網を活用する。
トリゼンオーシャンズは、グループ会社が営む養鶏業で増え続ける鶏ふん処理のために、鶏ふんを完全発酵させた普通肥料「華煌ら(はなきらら)」を2011(平成23)年に開発。さらに2017(平成29)年から2018(平成30)年にかけて、「華煌ら」を固形化した海域肥料「MOFU-DX(モフ デラックス)」の開発を行う。「MOFU-DX」の減り続ける水産資源を持続可能な状態へ導く可能性に魅力を感じたというヤマエグループホールディングスが、今回の新会社で流通部門を買って出たという。
トリゼンクオリティオーシャンズの社長・河津善博さんは「畜産業界のトリゼンが海の環境問題まで携わるようになったのは、鶏ふん処理の課題解決を行ったから。業界が違うからこそ見えてくる課題がある。環境に配慮しながら、生産から流通までトリゼンクオリティオーシャンズが管理することで事業を透明化し、国内の第1次産業の生産性と価値を向上させたい」と話す。
トリゼンクオリティオーシャンズの新事業として、「MOFU-DX」で育てたカキを「華匠牡蠣(はなしょうかき)」とブランド化しており、今年の秋から市場流通させる予定。そのほか、「MOFU-DX」で育てたアサリやノリなどのブランド化も進める。9月からはアサリの国産種苗で養殖をスタートさせ、来年の初出荷を目指す。