住吉神社(福岡市博多区住吉3)で8月下旬から始まった、25年に一度行われる大改修の様子が初公開された。拝殿の改修は実に78年ぶり。
同社では古来より25年毎に社殿の改修を行ってきたといわれ、近年では1935年、1960年、1985年に遷宮大祭を行ってきた。2010年に向けて、国指定重要文化財である本殿のヒノキの皮を使う檜皮葺(ひわだぶき)をはじめ、拝殿や境内整備、漆や鉛などの入った特殊な塗料を用いて、社殿の塗装などが行われる。総事業費は3億2千万円。
改修を行うのは昨年櫛田神社(冷泉町)の改修も手がけた、社寺建築・設計・施工の狩野興建(東区馬出5)。子どものころから現場を見てきたという三代目の狩野邦成(かのくにしげ)社長が指揮を執り、現在9人が拝殿の改修に取りかかっている。「図面がない工事で、原型をイメージしながら手作業と経験だけが頼り」(狩野社長)というように、古い材料はなるべく残したまま、中には1本650キロの柱をも組み立てていくという。棟りょうの清水政義さんも「日本独特の軒の反りが難しい。瓦を載せながらの手探り」と話しており、慎重に工事が進められている。
1930年以来実に78年ぶりとなる拝殿の工事では、屋根の柱に昭和5年当時の棟札(むなふだ)が発見されたという。瓦銅板葺と呼ばれる細かく波打った形を、宮大工たちが仕上げていく。
同社権禰宜(ねぎ)の高野維敦さんは「古来より、戦国時代やお宮自体が荒廃していた時代を乗り越えずっと続いてきたことで、滞りなく遷宮を終え、伝統を後世に伝えていきたい」と話している。
拝殿の工事は年内をめどにしており、来年春ごろに仮の社を立てた後、本殿の改修に入る予定。2010年秋ごろに境内の改修を全て完了後、式年遷宮大祭が行われる。