JR博多シティ9階のJR九州ホール(福岡市博多区博多駅中央街)で11月12日・13日、コーヒーをテーマにしたイベント「FUKUOKA COFFEE FESTIVAL(福岡コーヒーフェスティバル)2016」が初開催される。主催は福岡市喫茶業組合。
「今から25年前、有志が集まって福岡のコーヒー文化の周知や底上げをしようと『珈琲のぼせもんの会』を作ったのがきっかけ」と話すのは、2011年に惜しまれつつ閉店したけやき通りの老舗喫茶店「カフェ・ド・カッファ」代表で、現在は同組合理事を務める平田隆文さん(写真右)。同組合の理事長で、1934(昭和9)年創業の名店「ブラジレイロ」(店屋町)代表の中村好忠さん(写真左下)らとともに合言葉「コーヒーアイランド九州・福岡」を掲げ、福岡のコーヒーのクオリティー向上を目指し、講座やイベントなど九州各地でさまざまな活動を展開してきたという。
その地道な活動が今につながったのか、福岡には世界に通用する若手の成長も著しい。2011年にオランダで開かれたコーヒーのティスティング部門世界大会で「珈琲 蘭館」(太宰府市)の田原照淳さんが世界3位、2013年にフランスで行われたコーヒー豆の焙煎(ばいせん)世界大会ではコーヒー豆専門店「豆香洞コーヒー」(大野城市)の後藤直紀さんが優勝、2014年にイタリアで行われたバリスタ部門世界大会では「ハニー珈琲」(博多区那珂6)の井崎英典さんが優勝するなど、福岡が世界をけん引する存在になりつつある。
「若手の勢いがある今こそ、新旧の珈琲屋が手を取り合ったイベントを企画した」と平田さん。フェスティバルの目玉は、けやき通りの「珈琲美美」、警固・平尾の「ROASTER'S COFFEE 焙煎屋」、天神や博多に店を構える「珈琲舎のだ」や「ハニー珈琲」など6店による、「ネルドリップ」「ペーパードリップ」「サイフォン」「フレンチプレス」など6種の抽出器具を使ったコーヒーの実演・飲み比べ体験だ。「新旧の珈琲屋がある福岡だからこそできる企画。コーヒーを飲むだけではなく、入れ方の種類やこだわりをぜひ知ってほしい」という。
ここ数年は、ネルドリップやサイフォンで淹れたコーヒーを飲みたいと訪れる海外からの来店客も少なくない。団体で予約が入る店もあるほどだ。「外国人のお客様には必ずハンドドリップか尋ねられる」と話すのは「珈琲 蘭館」の田原照淳さん(集合写真右下)。「サイフォンが見たいと言われれば、『珈琲舎のだ』さんを紹介したり。さまざまな抽出器具を使ったコーヒーを楽しめるのも福岡の強み」と胸を張る。
会場では、前出の6店をはじめ、フードメニューを提供する店舗も含めると約30店が並ぶ。各店自慢のコーヒーのほか、コーヒー豆、オリジナルグッズを販売。世界チャンピオンらによるワークショップやコーヒーにまつわる楽曲を演奏する精華女子高校吹奏楽部によるステージも予定する。
「イベントを通して、店に顔を出してもらうきっかけになれば」と平田さん。中村さんは「いかにまろやかでのど越しの良いコーヒーが提供できるかのみを考えて一杯一杯入れてきた。この1杯にかけるコーヒー文化がどれだけ素晴らしいものかを感じていただければ」と話す。
取材・文/編集部 秋吉真由美