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「博多町家」ふるさと館
開館以来初の改装、さらに身近な博多の観光施設へ

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■開業以来初の改装

博多織の実演が見られる町家棟、博多の伝統工芸、歴史を紹介する展示棟、博多銘菓や工芸品などを販売しているみやげ処から構成される「博多町家」ふるさと館。敷地面積は853.86平方メートル。博多の歴史、文化の体験施設として1995年8月にオープンした。観光客を中心に年間約8万人が来館している。


町家棟は、明治中期に博多織元の住居兼工房と建てられた町家を移築復元したもので、福岡市の指定文化財となっている。


今回のリニューアルでは展示棟1階を「見る展示」、2階を「触れる展示」に分け、コンテンツを整理。1階には博多の歴史、山笠や松囃子(まつばやし)のミニチュアなどを新たに加え、見学順路を時代の流れに合わせて展示したほか、博多祇園山笠を紹介する映像ルームは、講座やセミナーなどイベントが開催できるように改善したという。2階は以前まで奥に配置していた実演コーナーを中心へ移動し、さらに伝統工芸への興味を引くフロア構成としている。


また、同館の長谷川法世館長の「博多っ子純情」など約150冊の「博多に関する書籍を集めた博多町家ライブラリーを設け、リピーター対策の強化も図る。


外国人旅行者もより深く博多文化を知ってほしいと、展示物の主な解説には日・英・韓・中の4カ国語表記を徹底した。「ここに来れば博多のことが分かる場所にしたい」と同館事務局長の山崎勇樹さん。今年度は約10万人の動員を目標に据える。


■新たなイベントも続々と

町家棟では伝統工芸士のほか、専門学校「博多織デベロップメントカレッジ」の卒業生が毎日手織りを、展示棟では博多人形、曲物、張子など日替わりで実演している。町家棟はリズミカルな手織りの音を聞きながら、職人と自由に会話ができるスペースで、ゆったりした時間が流れている。見学だけでなく、一部体験もでき、希望者にはグループで講座なども受け付けるという。


改装後、新たに加わった2階のイベントスペースでは今後さまざまなイベントを予定。閉館後に博多についての勉強会「夜なべ塾」を月1~2回定期的に開催するなど、博多にゆかりのある著名人を招いてのセミナーなどを企画していきたいという。


また、ふるさと館から出発している福岡市民ボランティアによる博多案内ツアーと伝統工芸体験などをセットにした連動企画や山笠の裏方体験など、旅行者を対象に企画中という。今年は初めて博多どんたくに「ふるさと館どんたく隊」として旅行者が飛び入りでパレードに参加できる企画を実施するなど、ユニークなイベントも行い、盛り上がりを見せた。


■旅行者はもちろん、地元にも愛される観光拠点へ

開館して今年で15年目。ふるさと館は旅行者だけでなく、地元の市民にももちろん根付いた存在に成長した。同館近くの創業74年の老舗箸店「萬はし本店」の店主・小島健さんは愛犬・チャッピーや孫との散歩ついでに同館に毎日顔を出している。


「ふるさと館ができて人通りも多くなった。ふるさと館前が仲間との集合場所にもなっている。人と交流できる場ができてうれしい」と小島さん。「『おるやー?』と気軽に行ける場所。お邪魔虫かもしれないけど(笑)」と笑う。「町家棟は昔の作りで本当に懐かしく、自然と足が向く」。昔を懐かしむ地元の声も多い。


「毎日、行くと何かがある。来た人と触れ合えるようなコンテンツを作っていきたい」と山崎さん。「博多の昔から伝わる伝統や文化を生かした興味を持ってもらえるような仕掛けをして、(同館が)情報発信の拠点になれれば」と意気込みを見せる。



取材・文/編集部 秋吉真由美




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