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福岡アジア美術館で開催中! 開館25周年の展覧会を見に行こう

提供:福岡アジア美術館 制作:博多経済新聞編集部

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 福岡・中洲川端の複合商業施設「博多リバレイン」7・8階にある「福岡アジア美術館」が今年3月で開館25周年を迎えました。

 25周年を記念して、現在同館では展覧会「福岡アジア美術館 開館25周年記念ベストコレクションII-しなやかな抵抗」が開催中です。ベストコレクションは、同館の活動や存在を広く伝えるために、同館が所蔵する作品約5000点の中からアジア現代アートの傑作を厳選し紹介する展示です。

 第1弾(2023年9月14日~2024年4月9日開催)に次ぐ第2弾となる本展。今回初公開となる作品など、注目の作品がめじろ押しです。ここでは展覧会の見どころや、同館学芸員・桑原ふみさんに聞いた、展覧会ができるまでの背景などを紹介します。

開館25周年記念「ベストコレクションII-しなやかな抵抗」とは

(左上から時計回りに)ホアン・ヨンピンさんの「駱駝」、リー・ダラブーさんの「伝令」、アーイシャ・ハーリドさんの「ビーナスの誕生」、ラシード・ラーナーさんの「パレードの間、すべての目は空を仰ぐ」

 第2弾となる本展では、アジア美術のスターアーティスト8人の作品が集結。既存の社会規範や美術の在り方などに対し、鋭い批判精神を貫き、しなやかに抵抗してきたアーティストたちの作品を展示しています。

展示の見どころ 初公開作品も

初公開の「駱駝」(ホアン・ヨンピン、中国・フランス、2012)

 同館では今年、アジア美術の存在を世界に知らしめたとされる鬼才、ホアン・ヨンピンさん(中国・フランス、1954~2019)のはく製を使った作品「駱駝(らくだ)」を新収蔵しました。今回、このベストコレクションIIで初公開しています。

 このほかにも、一点一点の作品が迫力あり見応えのあるものばかりです。今回選出された8人は、いずれもアジア、そして世界に活躍の場を広げるアーティストです。欧米中心とされる現代アートの世界で、独自の表現を切り開き、祖国のアートシーンの成長にも大きな貢献を果たしています。

学芸員の桑原さんに聞く 展覧会開催の裏側、企画への思い

ベストコレクションIIを企画された福岡アジア美術館の学芸員・桑原ふみさん。手元にあるのは、本展覧会開催に当たっての膨大な資料です。

 ベストコレクションIIを企画した福岡アジア美術館の学芸員・桑原ふみさんに話を伺いました。桑原さんにとっては、学芸員になって初めての大きな企画展ということで、とても緊張したそうです。

【企画の裏側①】アーティストの選出基準

 今回多数のアーティストの中から選ばれた8人。選出基準について、桑原さんは「『アジアの現代アーティストの作品世界をしっかりと見せ、市民の皆さんにもっとその魅力を知ってもらいたい』という思いから選んでいる」と話します。

 第2弾では南アジア、東南アジア、東アジアを含めた、第1弾よりさらに広い地域のアジアのアーティストを紹介できるように考えたそうです。「今回は、8人中4人が女性あるいは既存のジェンダー規範に自らを定義しないアーティスト。ジェンダーバランスについても意識した」と桑原さん。

【企画の裏側②】「駱駝」を深堀り、そこからつながるアーティストたち

会場入ってすぐに展示されているホアン・ヨンピンさんの「駱駝」と桑原さん

 初披露となるホアン・ヨンピンさんの「駱駝」をどのように理解し、展示するかというところから企画がスタートしました。桑原さんは「まずは『駱駝』を中心にして、作品に織り込まれたさまざまな要素を分解して考えた」と話します。

 展示をするからには、企画する桑原さん自身が作品を深く知ることが必要です。桑原さんは「風刺」「歴史との対峙(たいじ)」など、思いつくキーワードを出して考えてみたり、学芸課のスタッフ全員で「駱駝」を見る会を開いてブレストしたりするなど、各専門分野のスタッフの、さまざまな視点も取り入れながら「駱駝」をひもとき、展覧会の構成を考えたそうです。

「駱駝」の要素を分解するに当たって桑原さんが描いたイラスト

 「『駱駝』はインパクト抜群の剥製を用いながら、そこに実はさまざまな要素を織り込み、現代社会を鋭く批判しているところにひねりがある。それを踏まえて、一見愛らしいが毒がある作品や、表面とは違う意味や、一層奥に別の意味がある作品など、アジアのアーティストたちの表現方法における巧みな戦略やアプローチに着目して作品を選んでいった」と桑原さん。

【企画の裏側③】作品を読み解くヒントが掲載!ガイドブック作成

来場客向けのガイドブック「超図解ガイド」。作品を読み解くヒントがここに!

 来館客に向けて、展示作品を読み解くヒントが書かれたガイドブック「超図解ガイド」を配布しています。コレクション展でガイドブックを作るのは、実は今回が初の試みになるそうです。制作の背景について、桑原さんは「コレクション展は通常、作品リストくらいしか作らないので、来館してもらっても手元に残るものがあまりない。手元に残って、展覧会に来たことをその後も振り返られるようなものを作りたかった」と話します。

「パレードの間、すべての目は空を仰ぐ」(ラシード・ラーナー、パキスタン、2004)の図解ページ

 作品の解説は、展示室内に文章でも書いてありますが、文字数の制約などからなかなか全ての要素には触れられません。また、文章だと難しく感じたり、読みづらいと感じたりする人も少なくないため、ガイドブックはビジュアルを重視した作りになっています。ガイドブックには、桑原さんと企画チームの「作品のポイントを視覚的に解説して、見る楽しさを手助けするものになってほしい」という思いが込められています。

桑原さんピックアップ!本展の注目作品

 8人のアーティストの作品は、いずれも見どころ満載です。その中でも、桑原さんが特に注目する作品はホアン・ヨンピンさん(中国・フランス)の「駱駝」と、アーイシャ・ハーリドさん(パキスタン)の「ビーナスの誕生」だそうです。

ホアン・ヨンピンさん(中国・フランス)「駱駝」

「駱駝(らくだ)」(ホアン・ヨンピン、中国・フランス、2012)

「何と言っても、今回あじび(福岡アジア美術館)のコレクションに新しく仲間入りした『駱駝』を見てほしい」と桑原さん。作者のホアン・ヨンピンさんは、アジア美術を語る上でとても重要な作家だと言います。

【作品について】

 キリスト教とイスラームの双方において重要な生き物とされ、東西を結ぶシルクロードの象徴でもある駱駝。本作品は、一頭の駱駝の中に複数の文化圏の文脈が重層的に編み込まれており、今日も続く異なる宗教同士の対立や、経済的覇権を巡る衝突を鋭く批評しています。

 作品にはいろいろな要素が詰まっているため、解説を書く時に苦労したそうです。作者は「物事の完全な理解はあり得ない、断片的な理解があるだけ、それこそが大事」と語っており、見る人によって見え方が変わってくること、一つの正解はないことを説いています。桑原さんは「壮大な作品であることはもちろんだが、作家が語ったように、人それぞれの、いろいろな見方を感じてもらえたら。誰かと来た場合は、ぜひ作品について語ってほしい。人それぞれの理解が、作品を豊かにしていくと思う」と話します。

アーイシャ・ハーリドさん(パキスタン)「ビーナスの誕生」

「ビーナスの誕生」(アーイシャ・ハーリド、パキスタン、2001)

 「ビーナスの誕生」といえば、イタリアの画家、サンドロ・ボッティチェッリを思い浮かべる方も多いかもしれません。アーイシャ・ハーリドさんの「ビーナスの誕生」は、パキスタンで育った彼女のアイデンティティー、文化的背景が詰まったビーナスです。

【作品について】

 色鮮やかな幾何学模様の中心で、ハスの花弁の上にブルカを着たビーナスがうずくまっています。ブルカとは、イスラームを信仰するムスリムの女性が着用している、ベールのように全身を覆う衣装です。本作品では、ムスリムの女性が受ける暴力や抑圧の問題に言及しながら、同時に西洋的な美の基準が普遍的なものとして押し付けられる状況に疑問を投げかけています。

 桑原さんは「とても繊細な絵。西洋的な見方ではなく、自分たちの価値観に基づく美しさを表した、読み解きがいがある作品」と言います。桑原さんの思い出の作品でもあるそうで、「アジア美術を大学院で勉強し始めたときに初めに出合った作品の一つで、思い出深いもの」と話します。

トークショーなどイベントも予定!来年まで見どころ満載

「子宮戦士」(ルー・ヤン(陸揚)、中国、2013~2014)

 会期中の11月16日には、同展出品作品「子宮戦士」の作家ルー・ヤン(陸揚)さんが来場します。ルー・ヤンさんは、1984年中国・上海生まれで、現在は世界的に活躍するアジア美術のスターアーティストの一人です。当日は「子宮戦士」の制作背景や、2011年当時のレジデンス・プログラム参加時のエピソード、近年の活動について話すほか、ルー・ヤンさんの近年の映像作品も特別に上映します。

【ルー・ヤンさん来場イベント概要】

開催日時:
2024年11月16日(土)14時~16時
会場:
福岡アジア美術館 あじびホール(8F)
料金:
無料(事前申し込み不要)

今後もイベント計画中!

展示会場にはこんなフォトスポットも!

 同館では、今後も展示に関連したイベントを計画中だそうです。桑原さんは「アジア美術は自分中心だけではない在り方、世界を広げてくれるものだと感じる。ちょっとアジアに興味がある、ちょっと来てみたい、という思いからで良いので、気軽に立ち寄ってもらえたら」と呼びかけます。

 桑原さんは「自分がこれまで持っていた考えや見方に縛られず、作品と向かい合ってもらうと、いい体験ができるのでは」と話します。

【福岡アジア美術館 開館25周年記念「ベストコレクションII-しなやかな抵抗」開催概要】

会期:
2024年9月14日(土)~2025年4月8日(火)
観覧時間:
9時30分~18時(金曜・土曜は20時まで) ※入室は閉室30分前まで
休館日:
水曜日、12月26日(水)~1月1日(水)
会場:
福岡アジア美術館 アジアギャラリー(7階)
観覧料:
一般=200円、高大生=150円、中学生以下無料
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