「コロノチェア」:木材のフレームに3Dプリントパーツを融合
株式会社井上企画(福岡県大川市、代表取締役:井上慶子)は、大川で製造される家具に使われる広葉樹の廃材を使用し、新しい材料を独自に開発し、3Dプリンターを活用する素材開発事業を行っています。
粉砕~ペレット~3Dプリントまで一連の流れを自社で完結することで、木材の特徴を生かした材料にすることが出来ています。
この素材は、広葉樹の色合い、匂いなどの質感を活かし、高い強度と耐久性を持つ新素材となっています。また、この素材で製造された製品は、水平リサイクルが可能な理想的な循環型の事業となっています。
■モリタインテリア工業(株)×(株)井上企画
今回のプロジェクトは、椅子の加工を得意とするモリタインテリア工業(株)と材料製造や3Dプリントが出来る(株)井上企画の特徴を生かし、家のダイニングに置いてあるような自然なデザインの椅子をそれぞれの技術を融合し、作ることを目的としてきました。
樹種としては、木材のフレームと3Dプリントパーツどちらもケヤキの木を使用しています。
椅子の製造工程では、端材や加工屑が発生します。また、背もたれなどのパーツを作る際には、削り出しなどの加工屑が多くでる工程が必要になります。
今回は、その加工屑を活用し、木粉ペレット(WPC)にすることで、立体や曲線などの製造が得意な3Dプリントで座面・背もたれを製造しています。そのことにより、限りなく使用する材料を100%とし、環境にやさしい製品にすることが出来ました。
加工屑を使用することで、同じ木材の種類を使用しているため、組み合わせたときに色のバランスが良く、お互いの良さを引き立たせています。また、造形上の工夫により、座面や背もたれの硬さなどを調整することも可能です。
今後、このような形で3Dプリントのパーツを使用することが出来れば、今まで背もたれなどを技術を有していなかった会社でも様々なパーツを製造することが出来るようになり、加工や製品の幅を広げることが出来、家具業界に新しい価値を提供することが出来ると考えています。
■サステナブルマテリアル展 株式会社井上企画のブースにて展示
日時:2024.10.29(Wed)-31(Fri) 場所:幕張メッセ 第8ホール44-12
モリタインテリア工業(株)と共同で現在販売されているコロチェアをモデルとして、
「Corono コロノチェア」プロジェクトに取り組みました。
これは、3Dプリントしたパーツを馴染みのあるデザインの椅子に使用することにより、
『匠の技 × 3Dプリント の次世代家具』
として、家具業界に新しい可能性を生み出すことができたと感じています。
■製品製造の流れ
イスの木材フレーム加工から材料製造、3Dプリントまでの流れ
イスのパーツの成り立ち
株式会社井上企画(https://www.inouetimber.co.jp/)について
「自然の恵に感謝・謙虚・誠実であること」
大正元年に創業の歴史を持つ福岡県大川市の株式会社「井上製材所」を母体とし、新たなコンセプトで企画開発を試みる「井上企画」。井上企画では、木材の販売、加工、製品企画、コントラクト事業を行っており、福岡県大川市に本社工場、第二工場・材料倉庫を所有。
2022年より素材開発事業部を立ち上げ、2023年に福岡県大木町に「marui lab」を開設し、循環型の事業に向けWPCの開発をスタートし、材料開発~3Dプリント家具などの製造を行っています。
本社:福岡県大川市大字向島1998番4
創業:大正元年(井上製材所)平成18年(井上企画)
代表者:代表取締役井上慶子
モリタインテリア工業 Slow Furniture(http://www.moritanet.com/)について
ゆっくり・じっくり・丁寧に。
時の流れと共に私たちの作る木製家具の表情は深みを増し、より思い入れのある存在への変わっていきます。
ものの溢れること時代だからこそ、家具を長く使い共に時間を重ねていく生活の魅力を一人でも多くの人に伝えたい。
モリタインテリア工業は、そんな思いのもと1950年の創業から企画、生産、アフターフォローまですべてに気を配ることの出来る自社一貫生産にこだわり、家具産地であるこの福岡大川の地でメンテナンス性に優れた木製家具をつくり続けています。
毎日の生活を豊かにするデザインと最適な価格への追求を続け、お客様ひとりひとりの生活に寄り添えることを願い
【Slow Furniture】というコンセプトのもと、ものづくりを行なっています。