イタリアのクルーズ船「コスタクラシカ号」が7月8日、博多港国際ターミナルに初入港し、中国人富裕層を中心に約1,400人が来福した。10月までに3万5千人の来福者を予定している。
福岡では昨年から本格的に官民一体で中国からの来福者の経済効果を引き出すことを目的に、昨年から積極的な対応を行ってきた。昨年は4月~10月の間にクルーズ船が23回寄港、約2万6千人の外国人が来福。今回は今年4月下旬に一度着岸したものも含め、10月までに計24回入港を予定し、経済効果を狙う。
福岡市でも感染が広がった新型インフルエンザの影響が懸念されたが、福岡市や長崎市、鹿児島市の担当者が中国に飛び説明会を開催したほか、市長名の手紙を送るなど九州の安全をPRし続けたことから、乗船率は約8割を回復、次回以降も8~9割を維持しており、風評被害は終息に向かっている。
この日のJTB九州の団体客ツアーには約1,000人が参加し、29台の大型バスを手配。天神の百貨店、電気店や福岡タワー、大宰府天満宮、アサヒビール工場などのツアーを終えて戻ってきた中国人らは、天神の百貨店や電気店、薬局などの袋を抱えた中国人が目立った。港エリアでは乗船の際にも歓迎イベントを行い、博多芸妓との写真撮影、けん玉遊びや地元女子高のブラスバンドによるセレモニーに満足していた様子だった。
昨年は百貨店が予想していた高額の商品までは購入が進まず、家電製品もデジカメや時計を中心に2万円~5万円程度のものが売れており、今年についても「不況の影響もあり対応に手が回りにくい状況もある」(市経済振興局集客交流部の不動寺潤子さん)としながら、ウォン安の影響や7月には中国人の個人ビザも解禁されるなど追い風の要素もあり、団体ツアーを組む旅行会社に市内の滞在時間の長さを延ばすよう働きかけているほか、福岡の情報を外国人に発信するフリーペーパー「FUKUOKA NOW」とコラボレーションし、クルーズ来福者向けに中国語・英語で書かれた市内中心部の案内地図を全員に配布する。
また博多港国際ターミナルについても、他都市に比べ入国審査などが短時間で終わるなどハード部分もアドバンテージがあり、福岡港湾局に寄せられる来年度の岸壁利用申請が既に約60と約2.5倍に上る。不動寺さんは「今年のクルーズで福岡のPRがいかにうまくいくかによって、実際の着岸回数の増減が決まることから、今年は試金石になると考え、民間にもアナウンスを続けていきたい」と今後に大きな期待を寄せる。
福岡市は来街者向けの街案内サインや定点情報の仮設置を検討しているほか、バスのサインなども西鉄と協力。不動寺さんは「ショッピングを楽しみやすい環境をハード、ソフト両面から官民一体となり積極的に働きかけていきたい」と話す。また今回は雨天の影響で中止となったが、次回以降の同エリアでは帰船時にお土産店を出店する予定で、7月14日の入港時には商工会議所もアンケートを行う予定。