
6月に博多座で上演される「六月博多座大歌舞伎」に出演する中村勘九郎さん、中村七之助さんが4月14日、ホテルオークラ福岡で行われた取材会で公演への意気込みを語った。
博多座への出演は、勘九郎さんが7年ぶり9回目、七之助さんが7年ぶり8回目となる同公演。昼と夜で演目が異なり、昼の部は、一家の情愛が軸となる義太夫狂言「双蝶々曲輪日記(ふたつちょうちょうくるわにっき) 引窓」、江戸情緒あふれる舞踊「お祭り」、昨年5月にシアターミラノ座(東京都新宿区)の「歌舞伎町大歌舞伎」で初演された新作歌舞伎「福叶神恋噺(ふくかなうかみのこいばな)」を上演する。夜の部は、菅原道真の悲運を題材にした義太夫狂言「菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ) 道行詞の甘替」、十八世中村勘三郎が復活させ当代勘九郎に継承し、三役の早変わりが見どころの「怪談乳房榎(かいだんちぶさのえのき)」を上演する。
出演は、中村勘九郎さん、中村七之助さん、中村橋之助さん、中村福之助さん、中村虎之介さん、中村鶴松さん、中村梅花さん、市川猿弥さん。
久しぶりの博多座出演について、勘九郎さんは「7年の間に小倉城で平成中村座を2度務めたが、『博多座でもやってほしい』と言う声をたくさん頂いた。今回念願かなって博多座に出演できて本当にうれしい」と笑顔を見せた。七之助さんは「久しぶりの博多座出演、本当にうれしい。昼夜共に魅力的な演目を持ってきたので、博多のお客さま、日本全国のお客さまに喜んでいただける公演にしたい」と意気込んだ。
舞台の見どころについて、勘九郎さんは「『お祭り』では、『待ってました』『待っていたとはありがてえ』というコールアンドレスポンスがある。初めて歌舞伎を見るお客さまも一緒に声をかけてもらえたら」と話す。「怪談乳房榎」については「初心者の方にも、歌舞伎を好きで何回もご覧になっているお客さまにも、楽しんでもらえる作品。三役早変わりは、ものすごく体力的にきついが、三役ともそれぞれの人物になりきって、ただの早変わりショーにならないよう心がけている」と見どころを語った。
七之助さんは「福叶神恋噺」について「何も考えないで、頭を空っぽにして見て平気な演目」と話し、「昨年、新宿・ミラノ座で初演した際、お客さまの反応がすごく良かった。珍しいお客さまだと泣いた方もいて、人それぞれ感じ方が違っていた。おびんちゃんと辰五郎、それぞれのキャラクターが粒立っているので、そのキャラクターを見るのも楽しいと思う」と初演を振り返る。
福岡・博多の街について、七之助さんは「素晴らしい街で、僕は舞台がなくても来たいくらい。ご飯はおいしいし、人は温かい。東京や関東から来るお客さまには、芝居だけではなく、博多の雰囲気だったり、おいしい料理だったり、博多の街も楽しんでほしい」と話した。勘九郎さんは博多座について、「とても芝居がしやすい劇場。好きな劇場で芝居ができるので、その気持ちは必ずお客さまに伝わると思う。お客さまにも、くみ取ってもらえたらうれしい」と話す。
公演期間は6月4日~26日。チケットは、A席=1万6,500円、特B席=1万2,000円、B席=9,000円、C席=5,500円。