福岡サンパレスホテル&ホール(福岡市博多区築港本町)1階に11月7日~9日、新劇場「湾岸劇場博多扇貝(おうがい)」がオープンし、地元の劇団「最新旧型機クロックアップ・サイリックス」がこけら落としを飾った。
劇場は、同劇団の主宰を務める同社の川原武浩社長が、以前からテナント募集をしていた約20坪ほどの一室を、広さや場所の問題からテナント募集を止め改装。同社長は、高校・大学時代に演劇部に在籍し、同劇団の前身「針穴写真館」を経て博多座に6年間勤務。さらにコンサルティング会社を経て、着任から2年半で社長に就任してからも演劇に携わってきた。
「以前から劇場をやってみたい思いがあった」と同社長。こけら落としでは、同社長作・演出の作品「きみのなかのえもの」を上演。「時代の移り変わりのスピードが上がった中で、幸せになっているのか」というテーマを、笑いも交えながら、緻密(ちみつ)なセリフと劇場の演出でこけら落としを飾り、3日間で200人を動員した。
劇場の運営管理は劇団員らで構成する「福岡シアタープロトコル」が行う。キャパシティーは40~60人程度で、調光・照明設備なども設けた。劇場を「長期熟成型興行スペース」とし、仕込み、準備期間に相当の時間を充てて作り込む興行を基本にするという。2週間=14万円から利用を受け付ける。
川原社長は「いろいろなアイデアで不便さを特徴にして、芝居作りに影響を与えるような、色のある劇場になってほしい。ここをスタートにステップアップして、サンパレスのホールで興行できるようになってもらえれば」と期待を寄せる。さらに中規模の劇場も導入したい考えだという。
今月21日~23日にはこけら落とし記念興行第2弾として、福岡から東京に本拠地を移した「あなピグモ捕獲団」が1年ぶりの福岡公演を行う。公演は21日=20時~、22日・23日=14時~・19時~。チケットは同劇団のホームページで、前売り=2,000円、当日=2,300円。22日19時の回では、公演終了後に西鉄ホールの中村絵理子さんと同劇団主宰の福永郁央さんが劇場の今後を語るポストトークを開催する。